折れた階段

日本帰省の前に建てた家の骨組み。
とりあえず二階部分までつくりました。
帰って来てまた同じ職人集団に階段をお願いしようと思ったら、もう他の現場に行っていました。

私はそのグループの手があくまで待つつもりだったのですが、夫は一刻も早く階段をつけたい。


バリ人の男性によくある性格で一つの事に目が向いてしまうと他が考慮できなくなる。
そういう所はとても損な性格だな、と思うんです。

状況を見てちょっと我慢ができない。


たまたま部屋のカーテンを付けてもらったタバナンのインテリアの業者にタバナンの土建屋の知り合いを紹介され、やたらプライド高く仕事の値段も高め、でも建築のセンス全然なさそうなマドゥラ人が来ました。

どう考えてもやめた方がいいのに、なぜかスルーしてしまった私


夫は階段を見積もり額で請け負ってもらうボロンガンでお願いしました。
私はまぁ試してみてだめならいつでも工事をやめたらいいか、ぐらいの気持ちで見守ることにしました。


最初職人が2人来て4日ほどで出来上がるってことでしぶしぶ現場に寝泊まりをOKしたんですが、電気はやたら使うし近くの水場でマンディも嫌みたいで、うちの水道を使い放題。飲み水も要求されるし。夜は近所迷惑になるほど携帯や話し声がうるさくて注意して面倒をみるのが大変でした。


やっぱり近くに寝泊まりできる場所を自分で借りている職人のほうが断然ストレスがないです。

さらにこの人たち階段の作り方をよく知らないみたいで型枠を何回もやり直す。
できたからと呼ばれてチェックをすると一段一段不自然に幅が違ったり。
修正を繰り返してるうちに4日経ち、いつでもコンクリートが流せるようになのか送り込まれた人数も10人に増えました。

階段細部の作り方は素人の夫が教えているくらい…

あきれたころ、なんとか型枠が終わりコンクリートも流し込んで職人集団は帰って行った。
すでに一週間が経ってました。


そしてコンクリートを流してから一週間も経たないころ、型枠を外しに1人だけ職人が来たんです。
型枠を外したらお迎えに来たボスと呼ばれる人に仕事の残金を渡し、全てが終了するはずでした。

その日はカジャンクリウォンで、朝から子どもが聖水を入れるガラスの器を割ってしまい、いやーな空気が流れていたんです。

ちょっとだけ枠を外したらすぐ休憩する職人。
また役にたたないのが来たーと思っていたらなんと、間も無く型枠を外した階段が踊り場中ほどからポッキリと折れました。

これはただ事では済まされない。


階段が折れたことを電話でボスに伝えると、ボスのお迎えがないと帰れない職人はタバコを買うと言って外へ出て行きました。
そのまま帰ってこない。
どこかでボスと待ち合わせて逃げたんでしょうね。
責任感のカケラもないです。
ダバナンの職人だからもう会う事もないだろうけど。

まだ残金を払っていなくて正解だったけど、ここまでに前金や材料費はかかっています。
折れた階段をまた掘り起こして壊すのには作るのと同じくらいのお金がかかることでしょう。


思えばその職人たちが来ると決まった頃からか、どことなくまわりの空気が変わりイライラするばかりの日々でした。
階段が折れてから、びっくりして虚しくなったのはほんの一瞬。
不思議となんだかとてもスッキリした気分でした。

これはどうしたことかと思っていると、夕方ごろ、同じ敷地内に住んでる親戚のおじさんが来て義父になぜ裏の用水路側から登るように階段を曲げて作ったのかと聞いている。
川からやってくるものを招待するようなものじゃないかと。

そこで、もうピンときましたね。妙にイライラしていた理由が。
最初から考えてなくちゃいけなかったんでしょうけど、用水路とはいえ川の近くに家を建てる時は川との関わりを考慮しなくちゃいけなかった。
階段が折れたのは川の精霊達を招待し損ねたってことでむしろ良かったんだと思います。
何かの気まぐれでこの階段ができてしまっていたら、建築中の事故や建築後の怪談に悩まされたのかもしれません。

ポッキリ折れた階段。
忘れた何かを気づかされたけど、後始末が大変そうです。
やっぱりこういうところはバリは変わらないのですね。


バリ島検索のバリケン
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